☆エピG 5巻 第19話と20話の頃のお話です☆
復活したミノス王の亡霊と、ミノタウロスを倒し、教皇の勅命を果たしたアイオリア達一行。しかし息をつく間もなく次の指令が届く。
次の任務地へ旅立つ前にせめてもと、ここクレタ島の名物料理を注文する従者ガラン。ウエイターがまずはサラダを運んで来た。
「はい、クレタンサラダお待ちどう!」
「おっ、パンめっけ!いっただきー♪」
「あ、アイオリア様まだ…」
止めようと声をかけたガランだったが、光速の動きで口に放り込んだ主人の動きには間に合わなかった。
ガキッ!
「あ…がぎごげ…[ナニコレ?]」(喋れない)
バゲットの上に刻んだトマトとフェタチーズが載ったブルスケッタ。そう思って一口で食べようとしたのだが、予想以上の硬さで。
小さい皿でも食べてるかの様に、両頬を左右に大きく広げたまま、必死に噛み砕こうとする黄金の獅子。
「アイオリア様、はいお水です!」
そんな主人の姿に、慌てて水を差し出すもう1人の従者リトス。
「えぶばでいずど[エフハリスト:ありがと]」(まだ喋れない)
噛み噛み噛み噛み…
黄金の牙と大量の水分で、やっとこさ全てを砕き飲み込む。
「はー!!吐き出そうかと思ったぜ…」
全身の力を抜き、ホッとするアイオリア。
「で、ナンダこれ?」
「ダコス。硬いですから、少し時間をかけてしっとりさせてから食べるものです」
「それを早く言えよ、ガラン」
「止めたのに、聞く耳を持ち合わせていなかったのはアイオリア様でしょう?」
「ゔっ…
だいたいギリシャ人でもないお前が、何でそんなこと知ってんだよ!」
「従者の仕事は日々調査と研究が欠かせませんから」
すまして答えるガランに、文句のネタも尽きる。
2人のやりとり取りを、オロオロしながら見ているリトス。それに気づいたアイオリアが礼を言う。
「大丈夫だ、リトス。
さっきは水をありがとな」
「ハイ!///」
「さあ、アイオリア様も機嫌を直して。
どうぞ召し上がって下さい」
そう言って、取り分けたクレタンサラダを各人の前に置くガラン。やはりソツがない。
もはや素直にサラダを口に運ぶしかなかったアイオリアである。
こんな経緯があったので、ダコスの話題となると「主に宮主が」ビミョーな雰囲気になるらしい。