ちょっと間が空きました。
太陽の祭典第3弾は、ベレニケ登場!
…のハズだったんだけど
上手く話が進まないので、第2弾の主役の方目線で書いてます。
ありゃりゃりゃ…どこが髪誕?orz
とにかく、キメ!だけは格好良く書いたつもりですので許して〜
↑「だけ」かよ!?
ベレニケお誕生日おめでとう!
「星の宝箱」花霞更紗さんとの
共同企画、今回も健在v
私とベレニケが、アベル様の付き人に過ぎなかった幼き日のこと…
■Coma Berenicesは夢をみる■
キタラの音の微かな乱れ。
それは…降り注ぐ日射しに僅かながらも翳りを感じたのと、ほぼ同時であった。
アベル様の御前に控える場合は、常に頭(こうべ)を足れていたが、失礼を承知の上で目線だけを上げる。心無しかお顔の色がすぐれないようだ。隣に視線を移す。ベレニケもこちらを見ていた。同じ事を考えていたか。
互いに頷き合い、筆頭である私が声を上げる。
「恐れながら、アベル様…」
発言の続きを許された。
「神殿へ、お戻りになられますか?」
「…そうすることにしよう」
アベル様が太陽神となられてから初めて「食(ἔκλειψις)」が始まる。地上をあまねく照らす太陽の前を月が掠めて行く。全く…月の女神も無茶な事をする。
ご寝所で休息(やす)まれているアベル様。その側に控えていたはずのベレニケが、真っ青な顔で神殿の入口に現れた。
「ベレニケ!?何故アベル様のお側を離れた!」
「どうしようアトラス…アベル様がお辛そうなんだ!」
動揺していて顔色が悪いだけでなく、口調まで年齢相応になっている。
確かに私も心配していた。ここディグニティ・ヒルに満ちる、大きく暖かく揺るぎないアベル様の小宇宙が、微かに震えているのを感じていたから。今迄、こんな事は一度たりとも無かった…
未知なるものへの恐れが、己れの心の中で肥大化してゆく。どちらかが相手を落ち着かせるには、お互い幼な過ぎた。
倒けつ転びつ、ご寝所の入口まで駆けて行き、不安で顔をクシャクシャにしながら私たちは祈った。いや、何も出来ない小さな子どもには、祈るしか無かったのだ。
「………お前たち、何を泣いておる」
「アベル様!!」
「お身体は?お身体はもう!?」
頭(こうべ)を垂れることも忘れ、涙の滲んだ瞳で、食い入るように太陽神を見上げる。アベル様の顔(かんばせ)に戸惑う様な表情が浮かぶ。それで二人とも我に返った。
「「あ………も、申し訳ございませんっ!!」」
失礼な、大変失礼な事をしでかした。幾ら子どもでも、神々に仕えるべく選ばれた身。この先、どんな罰が待っているか…。
私たちは再び不安に震えながら、神殿の床に額を付けて詫び続けた。
「心配…してくれたのだな」
少し、笑いを含んだ様なアベル様の声色。
「食(ἔκλειψις)は済んだ。
…行くぞ」
(え?怒ってらっしゃらない??)
“きょとん”とした表情で互いに見つめあう。
すぐには状況が飲み込めなかった私たちに、またお声がかかった。
「何をしている。
お前達は、私の従者ではないのか?」
「「は、ハイ/// どこまでもお供いたします!!」」
それから間もなくだ。我等二人をコロナの聖闘士にーという話が持ち上がったのは。私たちは二つ返事でそれを受けた。
「コロナの聖闘士になることで、お前達には辛い宿命を背負わせてしまうやもしれぬ…」
アベル様お手ずからコロナの聖衣を賜る際、そう仰っていた。だが無力感に打ちのめされていた、あの食(ἔκλειψις)の時以上に辛い事など、有りはしない。
「Ασφαλής Κουκούλι !」
アベル様の居られる太陽神殿を、細い金の糸が優しく包み込んだ。
「今度は皆既だそうだ。この前とは訳が違うぞ、抜かりは?」
そう尋ねた私に、ベレニケは“無駄な事は聞くな”とばかりに不敵な笑みを返す。
「アベル様に仕え、お守りすること。
それが我等コロナの聖闘士の使命ー」
アノトキ ノ ムリョク ナ コドモ ハ モウ イナイ ………